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アル・アインの要塞
旅コラム

43度の砂漠国家、ガラス一枚の別世界

旅エッセイ UAE 世界遺産

暑さでフラフラになりながら、吸い込まれるようにガラス張りの博物館へ。黒いアバヤ姿の女性が、涼しげに微笑みながらデーツを差し出してくれました。

5月にUAE(アラブ首長国連邦)を訪れたとき、日中の気温は43度でした。もっと暑い時期には50度になるそうです。

ほんの少し外を歩くだけで、体力が一気に奪われます。日中に外を歩いている人は、観光客以外あまり見かけませんでした。

国の東端、オマーン国境近くにあるアルアインという街を訪れたときのこと。
先史時代以降の遺跡が市内に点在しており、「アル・アインの文化的遺跡群」として世界遺産に登録されています。
それらを見るために、タクシーをチャーターして巡りました。

昼過ぎ、いちばん暑さが厳しい時間帯。タクシーを降りた瞬間、容赦ない日差しが肌を刺します。何度「暑い……」とうめいたことか。

要塞を訪問すると、ほぼ日陰がありません。
もう無理。なんで修行みたいなことしてるんだろう。
もうろうとしていると、敷地内にガラス張りの建物が目に入りました。少しでも休めればと近づくと、そこは博物館。

自動ドアが開いた瞬間、ひんやりとした空気に包まれます。ああ、助かった。

ガラス一枚の向こうは猛烈な暑さ。
こちら側はエアコンで整えられた別世界。
なんと強烈な落差でしょう。

受付では、黒いアバヤ姿の女性が目元をのぞかせ、静かに微笑みながらデーツとアラビックコーヒーを差し出してくれます。

涼しい顔で立っている様子は、外の暑さとは無縁そのもの。日中は決して外に出ないのかもしれません。「あっつー!」と叫ぶ姿など、想像がつきませんでした。

濃厚な甘みのデーツと、スパイスの効いたコーヒー。それを口にすると、少しずつ体が落ち着いてきました。

アラビックコーヒーとデーツ
コーヒーポットとデーツ。ガラス越しに要塞の城壁が見える
博物館の受付
カスル・アル・ムワイジ要塞内の博物館

あのガラス一枚の境界は、私にとってUAEを象徴する景色のように思えました。灼熱の砂漠の中に築かれた快適な都市と、デーツやコーヒーに表れる古くからの生活の知恵。
その両方があるからこそ、人はここで日常を営むことができるのかもしれません。

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